私は若い頃からファンタジーが大好きです。その中でも比較的遅くから(30代後半)から読んだファンタジーに「十二国記」があります。
発行部数は何と累計約1200万部。まさに日本を代表するファンタジー小説と言っていいでしょう。
そんな「十二国記」の魅力とは何か。おすすめのポイントをまとめながら紹介します。
「十二国記」とは
『十二国記』は、神仙や妖魔の存在する中国風の異世界を舞台にした壮大なファンタジー小説です。2002年にはNHKでアニメ化もされています。
「魔性の子」から始まり「黄昏の岸 暁の天」が出たのは2001年。なんと続巻「白銀の墟 玄の月」のは2019年です。長い間ファンは辛抱強く続刊を待ちつづけました。(本当に長かったです。)
講談社文庫からも出版されていましたが、現在は2012年7月より新潮社から新装版となって刊行されています。
(「白銀の墟 玄の月」は新装版のみ)
一応小野不由美先生のお話ではシリーズ完結とされています。まだ他にも読みたいですけど。これから短編集がでることが
分かっています。
『十二国記』の世界
十二国記の世界は、神々が棲む五山を戴く黄海を、慶、奏、範、柳、雁、恭、才、巧、戴、舜、芳、漣の十二の国々が、幾何学模様のような形で取り囲んでいます。この異世界では、麒麟が天の意思を受けて王を選び、王は不老の存在となり国を収め、麒麟は宰輔として側に仕えます。シリーズはそれぞれ十二の国を舞台に広げられる物語となっています。
(十二国記公式サイトより引用)
書籍情報
これまで、発行されたシリーズ小説の一覧です。(あらすじは十二国記公式サイトより引用)
1.「魔性の子」
高里少年の周りで次々起こる不信な事故。惨劇の果てに大きな事実が。
(日本を舞台としたホラーですがのちの「風の海 迷宮の岸」に繋がっています。)
2.「月の影 影の海(上)(下)」
突然異世界へと連れ去られた高校生の陽子。見知らぬ世界で信じては裏切られ。また信じては裏切られ。それでも生きたいと願う少女。なぜ、この世界に来たのか。
3.「風の海 迷宮の岸」
幼い麒麟は、果たして王を見つけることが出来るのか。麒麟とは何か。自分とは何か。戴国麒麟(泰麒・高里要)が戴王を選ぶまでの物語
4.「東の海神 西の滄海」
雁国麒麟の六太は尚隆に出会い王として選定する。しかし、斡由による謀反が勃発。民を救うは延王尚隆か斡由か。延王(尚隆)と麒麟(六太)の物語
5.「風の万里 黎明の空(上)(下)」
陽子は王でありながら「役割を果たせない」「信頼を得られない」自分に苦悩する。そして芳国から来た祥瓊また才国から来た鈴は、王に嫉妬と羨望を胸に抱く。それぞれの思いを胸に幸せを信じて物語は進み……..。陽子が景王になってからの物語
6.「丕緒の鳥」
・・・短編集
7.「図南の翼」
恭国は先王が斃たおれて27年、治安は乱れ、妖魔まで徘徊していた。豪商の元に生まれ、何不自由ない生活を送っていた珠晶。しかし、国を憂えたわずか12歳の少女は決断する。「大人たちが無理なら、あたしが王になる。」果たして珠晶は麒麟に選ばれ供王となることが出来るのか。
8.「華胥の幽夢」
・・・短編集
9.「黄昏の岸 暁の天」
戴国は驍宗が王となって半年、反乱鎮圧に出陣した王が行方不明。そして泰麒も忽然と姿を消した。国を救うため李斎は、命を賭として慶国を訪れ、支援を申し出るのだが。
慶王、戴国の麒麟の物語 2、5の慶王陽子と3で出てくる戴国の麒麟(高里)の物語
10.「白銀の墟 玄の月(第1-4巻)」
泰王驍宗が消息を絶ち六年が経過した。そして荒廃した国を救うため泰麒が戻る。王の無事を信じ先の見えない旅が始まる。果たして泰麒は王を見つけ、国を救うことができるのか。(9の続編)
「十二国記は面白くない」という人もいる
『十二国記』の読者には、「面白くない」という人も少なからずいます。それは、シリーズ最初の「月の影 影の海」の上巻読んだところ(いやその途中かも)で「面白くない」と読むのを放棄するパターンだと思います。簡単に説明すると、
・最初延々と世界観を説明、馴染みのない固有名詞の漢字が多く、よくわからない。
・暗いので読んでいて辛い。
・主人公が後ろ向きすぎて、読んでいていらいらする。
私もそうでした。読むのやめようか悩みつつ、購入した本を無駄にしない一心で下巻へ。そこからハマりました。しかしながら、決して万人受けはしないかもしれません。
いいたいこと
「楽俊」との再会まで読みすすめましょう。話が面白くなるのはここからです。 下巻に入って、道が開けてから、一気に面白くなります。
「月の影 影の海」はシリーズの初めとなるので、十二国記における世界観の説明がそれなりに入っていますので、少し難解ですかね。
たしかに、特に上巻は、内容的に明るい話ではありませんから、読むのが辛くなるのはわかります。気分が落ち込んでいる時に読むタイトルではありません(おすすめしません)。
そんな暗いのはちょっとという方は、下記から読んでみてはどうでしょうか。特に「図南の翼」が読みやすくておすすめです。
1.戴国麒麟(高里)の物語:「魔性の子」⇨「風の海 迷宮の岸」
2.雁国延王(尚隆)と延麒(六太)の物語:「東の海神 西の滄海」
3.恭国に住む一人の少女が王となる物語:「図南の翼」
『十二国記』の魅力とは何か。
その綿密に作られた世界観、クオリティの高さ、まさに日本を代表する至高のファンタジー小説と思っています。「ファンタジーなんか読んだことない」、「面白いファンタジー探している」「日本の作家でそんな小説あるの」と言う方にぜひ読んでいただきたい「おすすめ小説」です。
もちろん知ってる。読んだことある。」という方にはは今更ですね。そんな「十二国記」の魅力を3つ紹介。
物語は一貫して人間の物語。勇気をもらう小説です。
ファンタジー小説だからといって魔法とか妖魔を倒すとかのストーリーではなく、魔物とか妖魔のいる世界での人間模様(王と麒麟)物語であり、妖獣とか妖魔は味付けにすぎません。王と麒麟、また国を支える官吏、そしてその国の民それぞれが懸命に生きている姿が映し出されます。
「人として生きるとはどういうことか」この大きなテーマが十二国記シリーズ通して描かれています。単なるファンタジー小説では終わらない世界がこの小説にはあります。読めば勇気をもらえるそんな小説です。
例えば「月の影 影の海」は主人公である中島陽子(以下「陽子」)が慶国の新たな王となる直前までの物語です。
主人公はもちろん、それ以外のキャラクターの個性がとても魅力的。
物語は主人公中心に描かれますが、主人公以外のクセのあるキャラクターが超魅力的。それぞれのキャラクターのエピソードが、きっちりページ数を割いて描かれており、その人物像を明確に浮かび上がらせます。
それがまた、一癖二癖もある人物が多い。あれ主人公だっけ?と思うほどページ数がさかれたりします。他の小説でも脇役のエピソードはあるが、ショートエピソードがほとんどですよね。主人公を支える魅力あるキャラクターの人物像を明確にすることで、読み続けるうちに話にのめり込んでしまいます。(だからこを余計主人公以外のキャラクターに思い入れができてしまう、なんとも困った小説です。)
終盤のあっと驚く怒涛の展開
その他ちょっとでてくるだけの人物及びエピソードもありますが、その全てに意味があります。最後に絶対繋がってくるんです。物語の展開にはあまり関係のない部分というものが、十二国記にはありません。描かれる全てのエピソードが最後の展開に向けての伏線です。すごいですよね。
全てのタイトルに通じますが、物語として大きく展開していくのは最後の2割です。なので、「あれこの物語終わるの?」と不安になります。ですが安心しましょう。ここから物語が怒涛の展開で進んでいきます。
いままで登場した人物、背景等をからめながら、すごいスピードで怒涛の展開を見せます。主人公そして脇役人がきっちり描かれているから、スピード展開にも戸惑いなく読み進めることが出来ます。「だよね」「えー」「そうくるか」とワクワクドキドキ いっときも目が離せません。
まとめ
『十二国記』は、綿密に作られた世界観、クオリティの高さ、まさに日本を代表するファンタジー小説です。「つまらない」と読むのを諦めた方も、今一度読んでみてはどうでしょうか。